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デトロイトのmaverickのレビュー・感想・評価

デトロイト(2017年製作の映画)
4.1
デトロイトで起きたアルジェ・モーテル事件。その裁判などで証言されたことを元に構築された映画である。キャスリン・ビグロー監督らしい社会派でシリアスな人間ドラマに衝撃を受ける。これが真実だったのだろうか?それは当事者しか分からない。本作から感じることは、差別が生む悲しみだ。デトロイトという町がこうなった経緯は、全て差別から来るもの。白人による黒人への人種差別である。不当な暴力に怒る黒人はやがて憎悪を爆発させる。劇中では、いやこれは黒人側も悪いだろうと思う部分もある。違法に店を出していたり、物を略奪したり、町を燃やしたり。そりゃ警察も黙ってないよと。だが本作が伝えたいのは、黒人にも非があるとか、いや白人がそもそも差別をしたからだとかの論争ではなく、差別が何を生むかということである。差別をされた黒人は白人に恨みをつのらせ、暴力には暴力をと町を破壊する暴徒と化す。そんな黒人を野蛮人だ、生意気だ。権力を誇示して黙らせる必要があると押さえつける。その成れの果てがあの事件である。ビグロー監督が言いたいのはまさにここであると思う。差別がどんな悲しい出来事を生むか。いじめや戦争も同じではないか?相手の人権を無視した行動がどんな悲劇を生むか。同じ人間同士がどうして、と。デトロイトで起きた悲劇を通して我々もしっかりと学ばなくてはならない。自分達が直面している問題だと認識しなければならない内容。胸に刻むべき一本だ。
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