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デトロイトのblacknessfallのレビュー・感想・評価

デトロイト(2017年製作の映画)
4.5
「差別に実体はない、差別者の恐れと歪んだ願望の投影にすぎない」ドキュメンタリー「私はあなたのニグロではない」でのジェームス・ボールドウィンの言葉。
この言葉がいかに差別について正鵠を得たものかを証明するかのような映画だった。

スターを目指す黒人コーラスグループとその友人知人が暴動下の街で被害者意識と差別心を募らせた白人警官達に虐待され、うち三名が射殺される。虐殺以外の何者でもなかったが加害者達は罪を問われなかった。

残念ながら遠い昔の話でも、すでに克服された問題でもない。
そして勿論、他国の病理と切り捨てることができるほど健全な国に住んでるわけじゃない。
文化や歴史の違いで差別される対象が違うだけ。
だから、正しく絶望的な気分になる(ならないやつは信用できねえ)

自分はたまたま標的ならずに生きて来れたにすぎない。空気が今より不穏になれば被害者に。ひょっとしたら加害者にもなるかもしれない。

事件のトラウマからエンタメ界で成功することに嫌気がさし(売れるということは白人警官の前でもパフォーマンスすることになる。彼等を喜ばすために。)コーラスグループを脱退したラリーが教会で歌う。
「こんな狂気に脅かされて安らかに眠ることができるでしょうか?」

「こんな狂気」は今も世界に蔓延してる。
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