星の数ほどある入れ替わりものの一つの域を脱さずに終わってしまった残念な映画。
入れ替わりものだと、本来歩むはずのない人生を歩むことにより、多くの気づきを得て喜んだり悲しんだり、あるいは逆境が入れ替わりによってチャンスになってしまったりするところが醍醐味なんだと思いますが、そのどちらもないままに終わってしまいました。社長の方は自分の身体に戻った後「これからはセクハラはすまい…」とか、「甥っ子のことをもっと気遣おう」とか思うんじゃないかという気がしますが、派遣社員のレオンの方は、特に何も得られてないのではないかと思ったりしました。
この映画、邦画の御多分に漏れずとにかくくどく、一から十までぜーんぶ喋り、演出は吉本新喜劇よりもくどい。コメディだからと言って、やたらギャグを誇張しすぎていてげんなりします。山崎育三郎のあのキャラクター設定もひどいし、「実際はこんな感じ」というイメージ映像も余分。観客を馬鹿だと思っているのか？と被害妄想を抱くレベルでした。
吉沢亮は安定の演技でしたが、「綺麗な瞳」とか自販機に語り掛ける下りはなんかもう…寒気が来るレベルで、思わず自分の身体を抱きました。まじ無理。でもそれ以外は画に書いたような好青年ぶりを発揮してまして、大変によかったです。
