カリカリ亭ガリガリ

グッバイ・ゴダール!のカリカリ亭ガリガリのレビュー・感想・評価

グッバイ・ゴダール!(2017年製作の映画)
5.0
「最高!と胸を張って公言できるほどに好きな作品だけれど、ミシェル・アザナヴィシウスは『アーティスト』が(ワンちゃん以外)嫌い過ぎて、サイレント映画モノマネの次はゴダールかよ、と鑑賞前は明確に不安でした(馬鹿な客)。
しかし蓋を開けてみれば、アンヌ・ヴィアゼムスキーの自伝が原作なだけに彼女視点の物語であるし、あらゆるゴダール演出へのオマージュも(ガチ好事家の皆さんは怒り心頭でしょうが)茶目っ気たっぷりで、と言うかゴダールとアンヌについての恋愛映画なんだからこれくらいの真似事はどの監督だってやるだろ、って許容範囲内のもので、だからそんなに怒らなくてもいいのでは……。
むしろ、そういったオマージュは逆説的にアイロニーに昇華されていて(と言うのも本作は『中国女』製作時の話だけど、ストーリー自体は『軽蔑』に近いから)、恋愛が下手なのに恋愛から逃れられないだめんずゴダールくんって可愛いよネ!……って可愛くないワ!!というアンヌの叫びは、必然的にアンナ・カリーナの叫びとも共鳴して、だからこの映画は可愛いのだけど哀しい。
ステイシー・マーティンは超可愛いし超脱ぐ(ゴダール作品がそうであったように、R15の本作でもヌードシーンが勿論ある)し、今後も追いかけたい女優。やっぱりラース・フォン・トリアーに鍛えられる(虐められる)と華開くものなのかしら」