この手の伝記映画にはあまり期待しない(ましてやゴダール御大の)のですが、思っていたよりは良かった。
私がちょうど先日に観た「東風」の頃のゴダールの政治映画時代、ジガヴェルトフ集団期の話だったのでかなり身近に感じられた。
かといってこの辺の映画を観ていないとわからないのか?というとそんなことは全くなく、ゴダール映画入門編の資料として最適な1作なのではないかと思う。
ゴダールが敬愛しているジャン・ルノワールやフリッツ・ラングといった巨匠監督の名前が出てきたり、ベルナルド・ベルトッチ監督と口論になり仲違いするシーンがあって映画ファン的にはニヤリとさせられました。
そして何はともあれヒロイン、アンヌを演じたステイシー・マーティンの魅力ったらもう💯👏
自分の映画の信者だというファンに対してゾンビ呼ばわりした挙げ句、“ゴダールはもう死んだ、映画はもう死んだんだ”と語るゴダール。
常に映画の進化を考える余り周りの人を置いてきぼりにしてしまったり、映画や芸術に夢を求めるなんてアホだとか言ったりして大衆を怒らせてしまうゴダールですが、それでも彼には憎めなさとチャーミングさがある。何だかんだでモテ男。
“気取った芸術家”みたいなイメージを彼に持ってる人が今も多いかもしれないが、実は作品をよく観ると情けなくて肩を持ちたくなるような愛おしい人だということがわかるはず。
是非、本作を観たのを期にいろんなゴダール映画を観て欲しい。