ドント

テキサスタワーのドントのレビュー・感想・評価

テキサスタワー(2016年製作の映画)
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2016年。テキサス大学オースティン高校、1966年8月1日、正午。突如としてタワーの上から地上目がけて始まった銃乱射事件。当時の映像や音声、生存者の語りを交えながら、主軸にロトスコープ=演者に被せるように作ったアニメーションの再現ドラマを据えた異色の実話映画。
白黒の当時の実際の映像と、現在の生存者の語りの「時間の隔たり」を繋ぐものとしてアニメが選ばれたのが面白い。単に役者が演じては、それは別人になってしまう。そこで、若い頃の肉体を再現した二次元という薄い膜を被せちゃうことで、過去~二次元~現在の全体をふんわりとひとつに包んでしまうアイデア。
完全に上手くいっているとは言えないが、たとえば背景や細部をバッサリ切り落とすことで表情や動きを際立たせたりとアニメにしかできない大胆な表現がいくつもある。過去の出来事をこういう風にも描くことができるという野心的作品。一種の群像劇としての取捨選択の仕方もとてもよい。
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