キッチー

あさがくるまえにのキッチーのネタバレレビュー・内容・結末

あさがくるまえに(2016年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

臓器移植の現場が連係していて無駄がなくドナー(提供者)からレシピェント(提供を受ける人)へ、スムーズに臓器が移動していくことに驚く。介在するのは医師、看護士、仲介者、そして臓器移植コーディネーターたち。特にコーディネーターはドナーや家族の大きな失望に直接寄り添い、重い決断を強いる仕事であり、同じ人間でなければ出来ない仕事のように感じます。

物語は若くして脳死状態になってしまった男性シモン(ギャバン・ベルデ)と心臓に病を抱える女性クレア(アンヌ・ドルヴァル)を中心に彼らとその家族を描いていますが、静かに始まる朝のシーンから、ラストシーンまで、静かに進んでいきます。

シモンの事故までのシーンは夢を見ているようでしたが、映像は美しかった...特に彼女との回想シーンは素敵でした。自転車でケーブルカーに乗った彼女を追いかけていく場面、ル・アーブルの街並みが一望出来る道を登っていく姿。いいんですよね。この時は命がキラキラ輝いていました。

そんなシモンが事故に遭う。脳死と告げられる両親。喪失感が伝わってくる。泣きわめくこともなく、耐える姿に胸が痛みます。
臓器移植コーディネーターのトマ(タハール・ラヒム)が両親に臓器提供をお願いする場面は、仕事とはいえ酷いなぁと思いました。こんなの直ぐに返事出来る訳ない...
とは言え、両親は結局、ほんの僅かな時間で考えて了解するんですけどね。
でも、そんなトマが、臓器摘出手術の時に見せた言動にはドナーへの最大限の感謝や敬意、そして思いやりが感じられました。

不安や悲しみを抱えたそれぞれの家族、耐える姿は痛々しいですが、それを支えてくれる家族がいるのは救いでした。人と人とのつながり、大切ですね。

しっかり物語を見せながらも、ドキュメンタリー風でもあり、見応えがありました。いい映画だと思います。
カテル・キレヴェル監督作品。