スプリングス

あさがくるまえにのスプリングスのレビュー・感想・評価

あさがくるまえに(2016年製作の映画)
4.0
〈/ボクはキミだから/〉

【Introduction】

朝が来る前に
消えた星までの地図を
キミへの歌に変え
地の果ての民に預けた
船よ急げよ
西はまだ無窮のさなか
眠りから見晴らせば
宇宙はキミを夢見て

ボクらの間に
変わらないものを数え
約束にくらみ
いくつもの橋を渡った
あの日から消えた
星が今川面に映る
水かさよ増せ 溢れ
キミへとボクを埋めて

いつか陽を仰いで
消えた星が見えた日は
地の果てに預けたあの
地図の歌をうたおう
“ボクはキミだから”と
“ボクはキミだから”と......

朝が来る前に
消えた星までの地図を
キミへの歌に変え
地の果ての民に預けた
船よ急げよ
西はまだ無窮のさなか
眠りから見晴らせば
宇宙はキミを夢見て

(※平沢進『金星』より歌詞引用)


【Review】
臓器移植という医療行為を《提供する側》《提供される側》《両者を繋ぐ側》それぞれの観点から見守った今作『あさがくるまえに』は、過ぎゆく時間を大切・丁寧に描いている、あなたの心に[残る映画]です。
人間は一人ひとりが違ったストーリーを歩んでいます。それは、ふとしたきっかけでクロスしたり、正反対の方向へ進んでいったりと、様々。そしてそのストーリーの一つひとつが《他の何物にも変えられない大切なもの》なのです。
だから、《生きられなかった》《描かれなかった》ストーリーを他の誰かに託すというこの臓器移植という行為は、本当に色々と考えさせられます。医師の方々も覚悟のいる仕事だと思います。提供すると決めた残された人たちも、色々な心情をどうにかひとつにまとめて...苦しかったと思います。提供される側だって、躊躇います。人のストーリーを切り取ってまで生きたくはない、と。
ですが、生きられるなら。
生きられるのなら、精一杯生きなきゃ駄目じゃないですか。
僕は「科学の発展による延命は人間の領域を超えた段階に────」というような、不安を煽る言葉が嫌です。だって、その人たちも大切な人が居れば分かってくれるはずだから。
[どんな手段でもいいから、あともう少しだけ。側にいさせてください]って。

ストーリーは書き継ぐことができる。遠い未来などではなく、今。

.....................

書きたいことが山ほどあったはずなのに、こんな固い文章しか書けませんでした。ですが、こんな文でもこの映画に興味を持ってくれる人が居たのなら、うれしく思います。

最後に... 【Introduction】に引用した歌詞はこの映画とリンクする箇所が沢山あり、観終わってから聴くと染みます。
是非一度聴いてみてくださいね。


【Digression】
観てからずっとこの映画のことを頭のどこかで考えてる自分がいる。。