Jonayama

ザ・ヴォイド 変異世界のJonayamaのレビュー・感想・評価

ザ・ヴォイド 変異世界(2016年製作の映画)
3.9
!?なんだこりゃ!?でもなんかスゲー!!
…という気になってしまうホラー映画。



カルト教団、異世界、死んだ人間から変異したグロテスクな生物たち…
80年代のカルト映画的キワモノ要素をグツグツと煮込み、死ぬとはどういうことなのかとか宇宙と繋がるとか哲学的であまりにも壮大な事象で味付けをした視聴者置いてきぼりな世界観の作品で映画マニアたちによるクラウドファウンディングで制作されたという経緯も頷けるぶっ飛んだ内容だ。

説明がとにかく少なくいくつかの起こっていることは劇中で多少ディテールが明かされていくが大半は特に説明されないまま終わり最後に思わせぶりにドーンとスゴい画を見せつけてエンドロールに流れ込んでしまうので画面の前で呆然としてしまった。。

人によってはとんでもない低評価をつけられてしまいそうな突飛な脚本だが、画面に映るモノは総じてクオリティが高い。
全身を隠す白装束のカルト信者たちは見ていてゾッとさせられるし低予算をうまくカヴァーした絶妙なライティングやカット割り、見るもおぞましいクリーチャーデザインや高い緊張感を維持しつつテンポの良い演出などアングラ映画的な題材で話は難解だが終始引き込まれる画があるので一切退屈しなかった。

低予算ゆえなのだろうがおそらく全編CG未使用なのもいい意味で生々しいクリーチャーの存在感を引き立てていて胸熱。
"失敗作"たちが大暴れする地下のシーンはスゴい…


個人的に話がわかりづらくとも観ていてスゴいと思えたならその映画はスゴいのでその意味ではこの映画はスゴいのだ(頭悪い文章)。

作品中で謎があらかた明かされる映画は観ていてスカッとするモノだが謎だらけでミステリアスに終わらせるのも作品の見せ方次第ではアリだ。
本作においては作中でそもそも人智を越えた事象が起きたということなのだろう。

前述したように80年代のホラー映画にかなりインスパイアされた作品らしく、自分の観てきた範囲だと意識を乗っ取られ身体を変異させられる様子やクリーチャーデザインは『遊星からの物体X』、あとは90年代だけど異次元からの存在に共鳴して狂ってしまう人物の描写は『イベント・ホライゾン』ぽさも感じた。


いやはやとんでもないもんを観てしまった。スゴい作品だ。
Jonayama

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