わたふぁ

マイヤーウィッツ家の人々(改訂版)のわたふぁのレビュー・感想・評価

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Netflix限定で配信中のノア・バームバック監督最新作。フランシス・ハ、ヤング・アダルト〜のどちらも鋭いパンチを喰らったので期待していましたが、決して裏切らなかったですね。

年老いたハロルドはNYでかつて名を馳せた彫刻家。バツ3で三兄妹は母親が異なるため、子供の頃から家庭内は複雑だった。身勝手でいつも周りを振り回す父親に対して言いたいことが山ほどある三兄妹が、久々にNYの実家に集まる...。

短い章でプツリ、プツリと切る編集で、坦々と話は進んでいく。よくある他愛のない家族の会話も、管で繋がれた父親が横たわる場面も、突然に始まる。

合理的でテンポのいい表現方法、なのではなく、これは人生そのものだと思った。
会って顔を見て話している間のことしかほとんど知らない。事故に遭うときや病気で倒れる瞬間に必ず側にいられるとは限らない。愛する人の一挙手一投足を観察しているわけにはいかない。そもそも人と人の繋がりは常に断片的で、ブツ切れなものなのだと、この映画は言っている。

(改訂版)、原題では“new and selected”までがタイトルって面白い。どういう意味なんでしょう。原稿とか台本によく書かれる改訂版って、その後さらに改訂版の改訂版が作られたりするから、“今のところの”みたいな意味合いなのかなと想像する。現状はこうだけど、人生はまだまだ続く..的なことなのかもしれません。