マヒロ

マイヤーウィッツ家の人々(改訂版)のマヒロのレビュー・感想・評価

4.0
頑固な芸術家の父・ハロルド(ダスティン・ホフマン)のもとに生まれた長女のジーン(エリザベス・マーヴェル)と長男のダニー(アダム・サンドラー)、そして異母兄弟で次男のマシュー(ベン・スティラー)は、大人になってからはそれぞれ自分の人生を歩んでおり会うこともなかったが、ある出来事をきっかけに再び集まることになる……というお話。

家族といえど長いこと会っていなかったら最早他人でしかなくて、久しぶりに顔を合わせた兄弟達の絶妙に気まずい会話の空気感が非常によく描かれていて、やっぱりノア・パームバックは上手いなと確信した。アダム・サンドラーとベン・スティラーもいつものおちゃらけを封印して抑えた演技を見せており、この二人の空気感もすごい良かった。絶妙に男前すぎず、ちょっとダメなところを持っていても嫌味な感じにならないところはコメディ俳優ならではという感じ。

変わり者の父から人並みに愛情を注いでもらえなかった子供達は少なからずどこか鬱屈とした感情を抱えていて、大人になってからも人格形成にどこか影を落としており、よく考えると割と重めの話だったりするんだけど、そこで変に陰鬱にならずあくまでコメディとして軽快なテンポで見せていってくれるのがまた良い。間延びしそうになるとバチッとカットが切られるぶつ切り編集も気持ち良い。

派手な設定や演出ではなく、人間同士の生臭いリアルな会話の面白さでもって映画を娯楽として面白く保つというのは並大抵の事ではないと思うんだけど、今まで観てきた作品も含めて(『フランシス・ハ』『マリッジ・ストーリー』)期待する水準を超えるような作品ばかりで、他の作品を観るのが楽しみになった。

(2020.72)
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