ひでやん

シェイプ・オブ・ウォーターのひでやんのレビュー・感想・評価

3.4
冷戦時代のアメリカを舞台に、声が出せない女性と半魚人の愛を描いたファンタジーロマンス。

水は形を持たないが、車窓の水滴を指先で触ると水滴同士が結合し「形」を変える。それを2人の愛として描写するシーンは印象的だった。水で満たした浴室やラストシーンが幻想的で、それらの映像美が見所。

アマゾンで神として崇められていた半魚人の造形は「いかにも」だったが、現実世界での存在に違和感はあまりなく、意外とリアルに感じられた。

純愛だけに留まらず、発声障害、同性愛者、黒人というマイノリティの窮屈さも描かれ、単純なテーマで片付けられない社会への訴えを感じた。

しかし、首を傾げるシーンが多かった。

言葉を持たない者同士が心を通じ合わせるのは分かるが、愛情は首を傾げてしまう。「美女と野獣」はすっと入り込めたが今作の愛はいまひとつ分からない。冒頭の自慰行為がちらついて、性的欲求のように感じられた。

妄想世界は好きだが、声を出して歌っちゃうと「ああ、こんな声の人が話せない演技をしているのか」て思っちゃってシラケてしまう。

冒頭の火事、ベンチに座るホールケーキの男にどんな意図があるのか読み取れなかった。研究対象なのに虐待、浴槽の適当な塩分濃度、アマゾンで捕獲されたのに謎の塩分、ストリックランドのセックスの必要性など、首を傾げる場面が多かった。

猫飼いの自分は猫のシーンでドン引きだった…。
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