このレビューはネタバレを含みます
【 水で満たす 】
毎日自慰をし、ゆで卵を食べ、清掃業務に勤しむ日々。ある日を境に、決まりきった日常が一変する。
導かれるようにして彼に辿り着いたのだ。ふつうは拒絶するような生命体なのであろうが、好奇心旺盛な彼女はちがった。受け入れるどころか、次第に結ばれてゆく。出逢いから結ばれてゆくまで、きっとそうなる“運命”であったのだ。その証拠に二人の物語は実にスムーズであったではないか。
とりわけ、浴室の扉をガッチリ閉め、フロアを水で満たす。自家製水槽の完成である。そこで存分に愉しむ二人の世界はまさにファンタジーであり、神秘的であった。生命体たるもの、性をおろそかにしてはならないのだ。
寝て、食べて、浸り、交わす。やはり、生命の本能の神秘を感じざるを得ない。