yuien

シェイプ・オブ・ウォーターのyuienのレビュー・感想・評価

4.0
どんどん多様化する現代のメルヘンの形、または、古典的なお伽話への21世紀のアンサーなんだと、そんな風に思う。ここには誰からも愛される可憐なお姫様も人々から慕われるハンサムな王子様も登場しない。スポットを当てられているのは1960年代当時のアメリカで蔑ろにされた社会的弱者たちである。けれど、この作品は単なる懐古的で奇異なラブロマンスではなく、アレゴリーを美しく施した現在進行形の話でもある。個人単位の差別に対する問題意識がだいぶ改善されているものの、まだ充分に寛容的とは言えない現代の社会でこそ必要性を感じるロマンチックな寓話で、トランプ政権に対抗するデルトロ監督の力強い意志も所々感じ取れた。

shape of water とはshape of loveであり、形のないもの、形に囚われないものでもある。また、自分とは異なるものとのコミュニケーションに直面する時、水のような柔軟さ(或いは包容力や寛大さなど)をもって、臨むべきなのだ、とそう感じた。