映画を見る猫

シェイプ・オブ・ウォーターの映画を見る猫のレビュー・感想・評価

3.7
微妙だ、と感じた映画は大体理由がすぐにわからない。
何でだろう?と、ずっと考えながら首を捻って、帰宅後、ようやく出した答えが
あんまりエロくない、だった。
ふざけんな馬鹿野郎!!!
これはヴェネチアで賞を取った極上ファンタジーで、もっとプラトニックな愛を描いてんだぞ、この野郎!
と言われたら、すごすご引っ込むしかないが、弁解できるなら私は特に色情魔ではないし、エロを求めてこの映画を見に行ったのでもない。
ジェーン・カンピオンの『ピアノ・レッスン』という映画がある。
この映画と同じ、言葉を発することができないものの、強靭な意思をもって自分の決めた男と一緒になる女性が主人公だ。偶然かもしれないがラストシーンの水の使い方も非常に似ている。
賛否両論あるが、この映画は抜群にエロい。視覚だけでなく聴覚触覚を誘うようにして、性を描ききっている。あくまで「女」の性ではあるが。
一方で、この映画はエロくない。 
友情ならわかる、主人公が少女ならわかる。だが何故、主人公が女として性的に彼を欲したか。その機転となるシーンが不明瞭で弱く、全体として淡白だ。
もっと見えなくてもいいのに。 
例え目を閉じていても、触れて、聞いて、想像するだけで、女は十分に目の前の男を愛せる生き物である。女を見つめて愛する男とは時に袂を別つように。
この映画は誉める点の方が圧倒的に多いだろうし、好きな人がいるのもよくわかる、いや、その方が、ずっと健全のような気もする。
あれやこれやと理由をつけてみたものの、単に自分が素直にラブファンタジーを楽しめない性格なのだろう、と殺伐した気持ちになった。