メランクさん

シェイプ・オブ・ウォーターのメランクさんのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

初日の初回とかすげーレア。
観客は味わい深いお兄さんたちが多かったです。

主人公イライザが夜勤の掃除婦な上に、モノクロの映画やメロウな音楽が全編を通して「孤独で静かな夜」を想起させる。

口のきけないイライザと彼女を取り巻く弱者たちに対し、マチズムを体現したようなストリックランドが立ちはだかるのだが、彼は自身がもっとも蔑む連中によって奈落へと突き落とされる。

栄華を誇るアメリカに対して弱者が反旗を翻すという展開は胸熱だし、いまの時勢を憂うかのような内容でもある。

雨が降り始めるとともに世界は溶け始め、結果的に暴力が夢を打ち砕いたようにも見えるけれども、「パンズラビリンス」と同様に物語が世界を補完してゆく。
水によって調和がもたらされた世界に優しい音楽が響くエンディングは本当に素晴らしい。
エマストーンやライアン・ゴズリングがいなくてもこんなふうに美しさは描けるんですよね。