げんき

シェイプ・オブ・ウォーターのげんきのネタバレレビュー・内容・結末

3.4

このレビューはネタバレを含みます

すべての孤独な人々にとって、ある種の希望である半魚人。
奇遇にも半魚人と同じく声を発せられない女性
ゲイであることを誰にも告白できず本当の自分を隠している画家
「男らしさ」や「成功」の観念に圧迫され強くあろうとする政府高官
自身に課された任務と科学者としての学術的立場に揺れるソ連スパイ
夫が横暴なため家事に従事している黒人女性

イライザにはミュージカル映画のような恋人として
ジャイルズには被写体としてイライザと半魚人の愛の形
ストリックランドには冷戦に勝利するための技術開発の鍵として
ホフステトラー博士には信念を貫く機会に
ゼルダには家庭内さらには暗に社会における女性の地位向上を


白黒ミュージカルによるイライザの脳内シーン
風呂場に水槽を作り二人だけの愛の部屋を築く―『愛のコリーダ』的な
終始幻想的な物語で、最後イライザに起きた肉体変化は、真実なのかファンタジーなのか。生物の創造という点では、半魚人を崇拝するアマゾンの部族を馬鹿にしていた政府の人々にとって、彼らが崇拝するであろう宗教と同じく、神のような存在になる。皮肉だ。

悪人ポジションの政府高官が、個人的には一番魅力的なキャラクターで印象に残った。彼も元帥からのプレッシャーや、「まっとうでいなきゃいけない」「失敗できない」という圧を感じていた。家族とのコミュニケーションも少なく、成功を象徴する車に乗ることで自尊心を保つ孤独な登場人物の1人だった。「服従させたい」という欲は半魚人に対しても、妻との性行為に対しても、声の出ないイライザに対しても抱く、彼の弱さ由来のものなんじゃないかな。ゼルダの夫の黒人男性が秒で彼に屈服したのも活きてる。

水の形、愛の形、気持ちとは、目に見えないものの美しさ
人魚姫の反対、"美女"と"野獣"
ファンタジー路線の中にけっこうなバイオレンスがデルトロっぽさ

TVや劇場の映画の引用は?
げんき

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