円柱野郎

シェイプ・オブ・ウォーターの円柱野郎のネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

米ソ冷戦下、米国のとある研究所で清掃員として働くイライザ。
ある日その研究所にアマゾンの奥地で捕らえられた“モンスター”が送られてくる。

ギレルモ・デル・トロ監督が描く現代の「美女と野獣」。
「美女と野獣」の“美女が処女で、野獣がキスで王子に戻る”という展開へのアンチテーゼとして構成されているけれど、それ以上に現代の米国らしいテーマ、マイノリティの事や寛容さについて問うた物語でもある。
それを「大アマゾンの半魚人」に出てくるようなモンスターを使って、愛のおとぎ話にしてしまうという監督のセンスには…脱帽です。

人間からモンスターへの想いを、愛として説得力を持たせるのは案外難しい気はする。
動物やペットに対する愛との違いは?
この映画で主人公とモンスターに性行為すらさせてしまうのには驚いたけれど、もうこれは「人を外見や出自で差別しない」という事の究極の比喩なんだと思う。
だから観る側として、そこに「半魚人と性行為?」みたいな現実的な感覚で考えることはもはやナンセンスなことなんだろうと思った次第。

モンスターのデザインはいかにもデル・トロが好きそうなスタイルw
今までも監督はジャンル映画への愛を隠さない作品を撮ってきてはいるけど、この映画も例にもれずクラシック映画へのオマージュが盛り込まれていて、そういう面でも面白いね。
怪奇映画、ミュージカル映画、フィルム・ノワール、スパイ映画…。
愛を描いた作品だけど、監督自身の映画への愛もヒシヒシと伝わってくる作品でしたよ。
円柱野郎

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