Kumonohate

シェイプ・オブ・ウォーターのKumonohateのレビュー・感想・評価

4.0
半魚人、声を出せないヒロイン、使い捨てのスパイ、リストラされたデザイナー、トイレ掃除の黒人など、登場人物が悉く異形だったり社会の底辺だったり悲主流派だったりの社会的弱者。全体的に薄暗いベース・トーンにレッド系とグリーン系が配置された色彩設計。怪物と人間とのラブ・ストーリーやエロティシズムを違和感無く見せてしまう設定や造型や演技。音楽。他の誰でも無い、待ってましたのデル・トロ節オン・パレード。見事な完成度。面白い。

ただし、残念ながら「パンズ・ラビリンス」には及ばない。

掌に眼がついていたペイルマンに匹敵するような美術的ナイス・アイディアに欠けることもさることながら、主な理由はストーリーの平凡さ。童話の定型を壊そうとしているワリには定型だし、寓話と呼ぶには毒と残酷さと不条理と淋しさに欠ける。つまり想定外と悲しみが無い。まあ、想定外や悲しみが無いといけないワケじゃ無いし、もともとが「大アマゾンの半漁人」からの発想なんだから仕方ないとは言え、やはりこの監督にはソレらを期待してしまうので。
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