次男

シェイプ・オブ・ウォーターの次男のレビュー・感想・評価

4.1
アカデミー賞はとてもとてもめでたいけれど、そんな大仰な冠なんて似合わないような、ひっそりとしたラブ・ストーリー。肩透かしなくらいの、紆余曲折も捻りも裏切りもない、ピュアなお伽話。

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ロケーションが抜群に素敵。
あのぼろぼろのアパート、(1Fは映画館、)湿気の多そうな研究室。じっとりしてて、でもなーんか綺麗で、このストーリーみたいなロケーション!

キャラクターがとっても素敵。
サリーさん史上最もキュートだったイライザに、相変わらず頼もしいバディのゼルダ、ストリックランドさんはすごくムカつくけどとても良い悪役だなあ!少ないキャラクターたちは魅力をふんだんに魅せていた。

「シェイプ・オブ・ラブ」って英語がちらっと聞こえてきたとき、このタイトルの意味がようやくわかって、良い映画だなあと思いました。


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ネタバレ
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このお伽話みたいな物語の中で、はっきりとテーマ性は語られていた。ちょっと、オンにしすぎだよ!ってくらいの。
差別ということに対して、いろんな方面から注意喚起がすごくて、むしろデリケートになりすぎてる気もするテーマだけど(語弊覚悟です)、でもこの映画はちょっと違って、「差別しないこと」の描写が素敵すぎた。

半魚人と結ばれた、とイライザがゼルダに話すシーン。手話には笑わせてもらいつつ、ゼルダの受け取り方にハッとさせられる。超普通に受け止めるの。「すっごく大きくてさ」「えーマジで!?」くらいの、ほんとそんな感じでさらっと。親友のジャイルズさんも、半魚人とイライザさんが抱き合ってるのを見てそっとドア閉めるし。

「半魚人とエッチしたー!」とかキャーキャー言うてる時点で、僕(ら)もう敵ってないよなあ。

人種差別が苛烈だった時代の、たとえば「白人と黒人が結ばれた」「日本人と外人が結ばれた」ことの当時の衝撃って、もしかしたらこういうことなのかな、とか思った。ありがたくも更新された価値観で育ててもらった僕らは「人種差別なんてナンセンス!」なんて自分を高いところに置きがちだけど、本質的には差別は理解できてしまうんやなあ。少なくとも、「え?こんな当たり前のことを映画にすんの?」とは、ならないわけで。

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ラストシーンのあまりの美しさにはらはらと涙したのも事実だけど、もっとアク強いの期待してしまってたのも事実。デルトロ監督には、もう少しだけ厳しさと哀しさも語ってほしかったなあ。