ギズモバイル

シェイプ・オブ・ウォーターのギズモバイルのネタバレレビュー・内容・結末

2.5

このレビューはネタバレを含みます

<ザックリ評価>
国家主義vs人道主義の対立をリアルな半魚人を登場させて人魚姫物語と美女と野獣を足して二で割ったようなプロットで表現した、上質さと気持ち悪さを併せ持つ自己満アカデミー作品。

<魅力>
・音楽
・ネコ丸かじり

<不満>
・二番煎じの盛り合わせ感
・過大評価

<詳しい感想>
まず、メタファー映画としては凄く中途半端。監督自身が恥ずかしくもこの映画に込められた意味を大っぴらに語っているが、正直解説を要する程の難度では無いし、半魚人はともかく国家主義サイドは、作中でもそのまんま実在の国家主義設定なので、そもそもメタファーにすらなっていない。正直演出手法としてはあまりにも解り易いと同時に、稚拙な印象も受ける。

そして、半魚人との恋愛。人間的な悟性を持つ生物は人間として扱われるべきであるとする、数世紀前の人類には欠けていた認識に焦点を当てているのだとしても、恋愛設定のハードルが高すぎて感情を揺さぶらない。クリーチャー愛好家の監督からすれば違和感無いのかもしれないが、正直私のような極めてノーマルな性癖の人間からすると、単純にヒロインが水棲生物フェチで、自分の変態的な欲情を満たすために騒動を起こしたようにしか見えず冷める。

もちろんそんな変態ラブストーリーも有りだが、それならば監督自身がアピールするような社会性の側面は、表現力の面で考慮するに値しない。目新しい絵面ではあったが。

ただ、手洗い殺菌消毒の重要性を伏線回収しているのは高評価。あと音楽がドラクエっぽくて良かった。あとヒロインは美人設定じゃないけど犬っぽくて愛着があった。