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シェイプ・オブ・ウォーターのSIのレビュー・感想・評価

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2018.3.6
TOHO上野にて鑑賞

本年度アカデミー賞作品賞/監督賞/美術賞/作曲賞受賞作品。
半魚人と聴唖者の恋愛を描いた作品である。脚本は性的な部分やラスト以外綺麗に王道をいくという感じであり良い意味で最高の雰囲気映画であるが、エログロであることには変わりないので受け付けない人が多いようには思う。
アカデミー賞をとったが、今後売れるか売れないかでいったら売れないだろう。エログロと恋愛はこの国では両立できない。

劇中曲/宣伝曲として60年前のセルジュゲンスブールの"La Javanaise"を再編曲し持ってくることで、フランス映画のようなロマンチックで甘美な雰囲気を与え、突飛な設定をうまく包み込んでいる。
画としては、基本的にどの構図も洗練されていて美しいように感じたが、これは色調加工や舞台美術の力が大きいのかもしれない。相手役が人ではないことや監督のバックグラウンドもありVFXも多用されているのだが、全体の雰囲気に上手く収まるようにさりげなく使用しており、こちらも観ていて嫌な気分がしない。
カットとしては、初めて一夜(一昼?)を共にした後、普段は通勤の日常風景として描かれていたバスで、イライザがおもむろに雨粒がついた窓を指でなぞり始めることで指に吸い付くように雨粒が窓を滑り、そこからカメラが段々と雨粒にトラックアップしていって全てVFXのカットにシームレスに移行し、雨粒がやがて二つになり、そして一つになる、二人が結ばれた事を暗喩するカットが美しかった。

パシフィックリムのイメージしかないので何故このような映画を撮ろうとしたのか、撮る事が出来たのかあまり良く分からないのだが、とにかく美しい映画をこの世に送りだしてくれた事は間違いないだろう。
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