anankeigo

シェイプ・オブ・ウォーターのanankeigoのレビュー・感想・評価

4.6
3/5 アカデミー賞発表直後に六本木ヒルズにて鑑賞。

長いですが、要点はマーケティングなんかクソだから、映画会社の言うことは聞きたくない。美女と野獣はおかしいだろと。自腹で好きなものに挑んで全てをコントロールしたものが世に出て、評価された点がこの作品の一番大きなところだと思います。
そのようなことを書いております。

美しいオープニングの直後に自慰行為がいきなり冒頭からぶち込まれて、大人のファンタジーで行くんだろうという宣言と受け取った。抑圧されたマイノリティたちと彼らを権力で押さえ込む者たちの戦いを描いていく。パンズ・ラビリンスと近い構造。

トイレ掃除を職としている黒人と障害者、イラストレーターの隣人はゲイ。the othersたち。40の女性はスターになるのを夢を見ている。ギレルモはアカデミー賞のスピーチでも移民だと言っていたが、声が出ない(出せない)状況は明らかに現代の話を投影している。冷戦下を利用して上手くメッセージをのせて届けてくれていると感じた。それはパンズ・ラビリンスでもそうだったように。(パンズ・ラビリンスはデルトロ作品でもベスト級)アマゾンから来たモンスターと南米からアメリカにきた移民を象徴させていて、監禁されていて、白人の軍人にボコボコにされるという話になっている。

スピーチではこうも言っていた。若者たち、ファンタジーに投影させて現代を語ろうじゃないかと。スピルバーグの夢も叶えた受賞となって感動的だった。シンドラーのリストを撮るための資金稼ぎで子供向けのジュラシックパークを撮ったと言われている。E.T.はノミネートまでだった。(調べるとレイダースもスターウォーズもノミネートされてはいる。)スピルバーグでさえ大人向けの作品でなければアカデミー賞は取れないとされていたので、ギレルモに是非取れと言ったということらしい。スピーチでは全容はわからなかったが、そういう意味深い受賞スピーチだったのだ。

ただその周辺ばかり語られているが、映画の内容はというと、あのモンスターに恋をするのは?と思っていたが、ラストにその謎が明らかになった。イライザも同じ族だったのだ。あのエラが開いた瞬間、最初から惹かれあった2人だったと分かる。

水の形というタイトルも不確か性を意味しているように受け取った。バスのシーンで水滴が形を変えていく様子を映していたのはそういうことだと思った。


クレジットのバックに青海波の文様があったり、どこかに北斎の絵もあったらしく、日本的な要素も散りばめられていた。
そしてあの美しい映画館に行ってみたい。Elgin TheatreというTorontoにあるらしい。そこで上映されていた映画「砂漠の女王」の意味が知りたい。別の方の批評をみると、水との対比で、水のない砂漠の女王。つまり満たされていない女性ということらしい。なるほどー。
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