おとぎ話は教訓に満ちている。
アカデミーの前にほぼ予備知識なく観に行って面食らった。悲しくせつない話が好きで、本作も決して嫌いじゃない。終わり方がちょっと好みではなかったが、十分楽しめた。こんな作品をつくって世界公開するなんて、監督は鬼才すぎる。
発声に障害がありビジュアルも決してよくはない主人公。仕事は夜中で相棒は(差別の色濃い時代の)黒人、同居人はリストラされたゲイのアーティスト。不思議な生き物との出会いは、鬱々として明るい未来のない日々の中で得た僥倖といえる。ただ、すべてを委ねられる相手を見つけた主人公を幸せだったと思うかどうか。