horry

シェイプ・オブ・ウォーターのhorryのレビュー・感想・評価

5.0
とても美しい映画だった。普通からはずれた者に捧げられた作品。

なかでもストリックランドの指が壊死するエピソードは秀逸。
指=男根のメタファーなんだけれど、彼の男性性(常に「まとも」じゃないと失格とされてしまう)の回復がなされないことの残酷さがよく伝わってくる設定だった。
指を「彼」に食いちぎられ、それを見つけたイライザがマスタード付きの紙袋に入れるシーン、イライザの起伏のない雰囲気が「?」だったのだけど、彼女と「彼」にとってストリックランドの男性性は、重要なものではないってことで、なるほど、と。

しかし、イライザの性的欲望がかなり直接的に描かれているのには驚いた。ストリックランドの無様な行為と対照的であることに意味があるわけで、それを考えると、ボカシという無様なものを必要とするこの社会を照らすものにもなってるのかも。

愛と喪失の物語の「喪失」とは何か。ストリックランドに代表される「すべてを壊そうとしたモンスター」によって奪われたイライザ、だろうなぁ。
1962年という時代にゲイであるジャイルズにとって、世界はイライザであり、それを失ってしまったのだから。
horry

horry