Frafill

シェイプ・オブ・ウォーターのFrafillのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

まず印象深かったのが、計算し尽くされた映像美である。

終始、青緑色が至るところにちりばめられていて、レトロな音楽や雰囲気とも相まって、ずっと水の中にいるような、昔に戻ったような感覚に心地良さを感じた。ところどころ、直接的な姓描写や、グロテスクなシーンがあったにも関わらず…もしかしたら、誰もが経験したお母さんの羊水の中のような?そんな安心感が全編を通してあった。

また、ヒロインの気持ちの変化に合わせて、だんだん赤などの差し色が増していくのが、非常にお洒落で可愛かった。

何気ないひとコマも、そのまま静止画として切り取れば立派な構図になっていて、ストーリーを追うのと映像を楽しむのとで非常に忙しい二時間となった。

観ている間は気づかなかったが、常に3分置きくらいに何かしらの形で水が出てきていたらしい(ギレルモ・デル・トロ監督インタビューより)。

そして、ときどき聖書(サムソンとか)の内容があったので何か意味があるのかと気になったが、具体的な理由は見つけられなかった。アメリカはキリスト教の国なので普通なことなのか…?
「シェイプ…」は「愛」がテーマとのことだが、キリスト教も愛を説いているから、もしかしたら自然なつながりなのかも知れない。

ちなみにカレンダーの「10日」にも何か裏設定があるのかと思い探してみたが、イエス・キリスト復活のち昇天後10日の「ペンテコステ」くらいしか見当たらなかった。深読みし過ぎかな…?

魚人(謎の生物)と人魚(ヒロイン)の違いについても考えた。

最初のナレーションでヒロインのことを「声を失った姫」と言っているのがすごく気になった(日本語訳だが)。「姫」と言われれば人魚姫を連想するが、人魚姫の物語では、姫は声と引き換えに地上で歩くための足を得た。最後に、実は元々いた海に戻っただけだったのだかも、と考えてしまった。

最後に詠まれた詩、はっきりとしたフレーズは覚えていないが「愛に包まれながら、漂いながら生きる」だったか…?

美しいが、ちょっと夢うつつな、この世のものではない幻想的な印象を受けた。いつもあたたかな愛に包まれて生きていられたら、どんなに幸せだろう。
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