まっつん

シェイプ・オブ・ウォーターのまっつんのレビュー・感想・評価

4.0
デルトロおめでとう!!ハードコアすぎるオタクスタイルと確かな手腕で世界中のオタクの心をガッツリ掴んで離さないギレルモデルトロの新作!!アカデミー作品賞も受賞!

まず本作を語る上で欠かせないのは「大アマゾンの半魚人」。言ってみれば本作は「大アマゾンの半魚人」の二次創作的作品です。そして「大アマゾンの半魚人」に登場する半魚人ギルマン。彼が本当に最高で、半魚人といったらギルマンの姿を真っ先に思い浮かべる人が多いと思いますね。そのギルマンをベースにしながら本作は何回もの試行錯誤を重ねた半魚人となっています。

そして本作はギレルモデルトロの「半魚人最高だよね!」という気持ちを拡声器で叫び続けている作品なんですよ。とにかく「半魚人は最高!人間だって半魚人と恋して良いじゃないか!!」というその一点のみ。これ人によっては「うるせーな」って思う人がいてもおかしくないと思います。私個人としてはその熱さみたいな物に完全に乗れましたが、実はこの点が一番賛否分かれるんじゃないかなと思いました。

本作のヒロイン、イライザは半魚人に対して初対面からガンガンにアプローチをかけて行きます。そこを持って「恋に落ちる過程が描けていない」という批判があるそうですが、それは的外れかなと思います。なぜなら彼女もまた最初から「半魚人」として描かれているから。水中でのオープニング、そして彼女の部屋の壁は青いと。だからイライザと半魚人は最初から同類として心を寄せ合う。それは本作に込められた社会性の部分にもなっていて一種の「マイノリティへの視線」であります。そしてマイノリティが今回戦いを挑むのはマイケルシャノン演じる超男性、ストリックランド。彼が常に持ち歩いている電流が流れる黒く太い棒は非常に分かりやすい男根象徴です。しかし、彼もまた社会の中でそう生きる事を強要された被害者でもあるわけです。

イライザと半魚人は手話を通じてコミュニケーションを取ります。イライザは喋れないからです。これはイライザと半魚人の対話を分かりやすく成立させると一種の道具立てとも言えるのですが、これが逆に寓意を言葉で紐解く結果になっているのは非常に残念だったかなと思います。

しかし、もうラストはボロボロ泣きましたよ....この後の2人の幸せを願わずにはいられませんでしたな....本当に良かった。