kensyo

シェイプ・オブ・ウォーターのkensyoのレビュー・感想・評価

5.0
美しい映画。
家族で見るのには適していないけれども、大人、或いは子供であっても一人で見るのなら適している。
ある種の「原体験」となってもいい映画だと思う。

童話2.0、という感じ。監督がこの映画で実現したことは、旧来の「おとぎ話」のアップデートだと思う。其処には監督の信念がある。

背景となるコンテキスト、例えば「旧来のおとぎ話的価値観(監督が語っていた「美女と野獣」等)」、クリーチャーの元になっている「大アマゾンの半魚人」とか、多様性に対する不寛容な社会情勢とかを参照しながら楽しむことも出来るし、単に普遍的な愛の物語として、スリリングなサスペンスとして、クリーチャーのデザインや描写、または全編通しての美しい色彩を楽しむことができる。

文化的背景なんてものを全く気にしなくても十分に楽しめるエンターテイメント作品だけれど、そこにあるコンセプト、参照されているコンテキスト、美的感覚はアーティスティックで感動的。

孤独な「画家さん」は、なんとなくデル・トロ監督本人を反映している気がする。

ソファの上でのタップダンスのシーンが孤独と慈しみに溢れていて印象的だった。
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