daiyuuki

シェイプ・オブ・ウォーターのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

5.0
1962年、アメリカ。政府の極秘研究所で清掃員として働くイライザ(サリー・ホーキンス)はある日、施設に運び込まれた不思議な生きものを清掃の合間に盗み見てしまう。
“彼"の奇妙だが、どこか魅惑的な姿に心を奪われた彼女は、周囲の目を盗んで会いに行くようになる。
幼い頃のトラウマからイライザは声が出せないが、“彼"とのコミュニケーションに言葉は必要なかった。
次第に二人は心を通わせ始めるが、イライザは間もなく“彼"が実験の犠牲になることを知ってしまう。
“彼"を救うため、彼女は画家の親友ジャイルズ(リチャード・ジェンキンス)や同僚のゼルダ(オクタヴィア・スペンサー)の力を借り国を相手に立ち上がるのだが、彼女達の前には執念深い研究所の警備主任ストリックランド(マイケル・シャノン)や「彼」を研究に利用しようとするロシアのスパイが立ち塞がる。
果たしてイライザは、「彼」を守り愛を貫けるのか?
「ヘルボーイ」シリーズでもアウトサイダー同士の愛をリリカルに描いたギレルモ・デル・トロ監督が、人間の女性と半魚人の愛を描いたファンタジーラブロマンス映画。
言葉が話せず孤独だが純真なイライザが、卵と音楽を通して心を通わせ、信頼し愛し合う交流が丁寧に描かれていて、アウトサイダー同士のピュアな愛が観る者をキュンキュンさせる。特にイライザと半魚人の水中のラブシーンは、アウトサイダー同士の「愛を確かめ孤独を埋め合いたい」というピュアな愛が伝わる美しいラブシーン。
中盤のイライザたちが半魚人を研究所から連れ出すシーンやクライマックスの半魚人を逃がそうとするイライザたちと執念深いストリックランドの攻防が、ハラハラドキドキさせる。
イライザがお伽噺にありがちな純真なだけでなく、性欲も強い意思もある等身大の女性で、ゼルダも旦那や上司に媚びない強い女性であるところが、リアル。
イライザと親友のジャイルズの性差を越えた友情、イライザとゼルダの女性同士の友情も、ステキ。
クライマックスのオチは、ギレルモ・デル・トロ監督の「美女と野獣」のオチに対する違和感が投影された説得力のある結末で、赤や緑など絶妙な色使いの映像美が美しい、ギレルモ・デル・トロ監督の集大成で最高傑作と言えるファンタジーラブロマンス映画。
 
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