うえの

シェイプ・オブ・ウォーターのうえののレビュー・感想・評価

3.9
宇宙センターにて清掃員として働くイライザは幼少期のトラウマで声が出せずに手話を用いて、隣人でゲイのジャイルズ、同僚のエルザに支えられながらも恋人のいない暮らしに寂しさを感じていた。
そんなある日運び込まれて来た謎の生き物とその生き物を研究と称して虐待する軍人ストリックランド。
言葉を介さないイライザと謎の生物の交流と種族の垣根を超えた愛を描いた奇妙で美しいラブストーリー。

第90回アカデミー賞にて作品賞含む4部門を受賞、第75回ゴールデングローブ賞にて作品賞監督賞の2部門を受賞し、各映画賞レースにて主要部門をかっさらった作品として大きく注目された今作。

1962年を舞台に盲ろう者、ゲイ、黒人が政府と対立するといった構図の作品で、ある種マイノリティの反撃といった現代に通じるメッセージ性の強い側面がある一方、主人公のイライザが40代前半にして朝から一発おっ始めたり、イライザと謎の生物との直接的ではないもののwow…となるようなラブシーンがあったりと普通の綺麗なラブストーリーと思って観始めるとちょっと面食らうかもしれない笑。
しかしそれが不快であることなんて全くなくて、むしろそういった表現が作品にマッチしていて美しさすら感じさせる絶妙な作品になっている。

ギレルモデルトロ監督の強い想いで美男美女のラブストーリーにしたくないというテーマがあったようで、ヒロインとして起用されたサリーホーキンスことイライザは実年齢と設定年齢ともに40代前半でとてつもなく美人というわけでもない地味な印象の女性を演じている。
しかしその彼女が謎の生物との交流の中で徐々に生き生きとしていく様子がどこか幼い少女のようで可愛らしくも見え、例の謎の生物とのバスルームでのシーンにて水中内での行為後の謎の生物越しのニンマリとした笑顔もどこか妖艶に見えて、つまりはとてもエロい、、!!笑
美男美女のラブストーリーではないからと言って退屈だったり、見応えがなかったりとかそういうことが一切なくてこの表現は見事だなと感じた。

その謎の生物を追うストリックランド演じるマイケルシャノンの迫真の演技も素晴らしかった。
冷戦時代の軍人らしく、弱さ罪と言わんばかりに、自信を持って行動しなければならないといった信念を持っているかのように感じた。
そんな彼が家に帰るとごく一般的な父の顔と妻を愛する夫の顔を覗かせるが、後半はそれすらも弱さとみなすようなまさに鬼のような顔つきで謎の生物を追い詰めていく。
とにかく顔が怖い笑。ウィレムデフォーと並んで顔が怖い笑。顔だけで助演男優賞いったかと思ってたけどそもそもでノミネートされていなくて残念。。
あとは唯一のボカシのシーンがそこかよと思ってちょっと笑った。

第90回のアカデミー賞にて今作が監督賞と作品賞の主要2部門を受賞した際にWOWOWで放送されていた中継で映画評論家の町山智浩氏がこういった特撮的な作品がアカデミー賞で評価される時代がやってきたことを涙ながらに喜び、ゾンビでもマーベルでもバットマンでもアカデミー賞の戦いに参加できるんですよと熱を持って語る様子を見て今作のすごさを改めて感じたし、やはり喋れるオタクって憧れるなぁって改めて思った笑。