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シェイプ・オブ・ウォーターのmQのレビュー・感想・評価

4.0
公開当時は見事に見逃して、悔しがっていたら爆音映画祭と共に帰ってきてくれました!嬉しい!感謝!

本当に見れてよかった。
言葉が交わせなくとも、頬を撫でてみたり胸に手を当て心臓の音を聞いてみたり、目を合わせて目配せしてみたり…
コミニケーションの方法は無限に存在する事を再認識。言葉で想いが伝わらないと結構フラストレーションが溜まったり意地になりがち…。
一方で主人公のイライザと不思議な生き物の彼を見ているととても気持ちが良いのです。
そうか〜コミニケーションってもっと温かいものよね、と。
最初の1歩となった"egg"がなんだか可愛らしいです。

勿論監督がデルトロ様なので容易にことは進みません。(笑)
研究所の強面指揮官やロシアと通じている研究員らが彼をどのように扱うかは目に見えています。
結構血も滴りますので可愛い童話と思って見に来た人は引いちゃうかもですね(笑)

私は監督の「パンズ・ラビリンス」が好きなのですが、彼自身の持つダークファンタジー感は本当に唯一無二の賜物だなと今作も関心しきりでした。
不思議な生き物の彼の造形も、クリーチャー感はなく博士や親友が口にしていた通りどこか"美しい"。

クライマックスは、古いレコードと共に回り出す残酷な光景と隣り合わせの運命が劇的に描かれ、前半のゆったりとした空気とは異なり絶妙です。
そしてあのラスト。鳥肌が立ちました。勿論想像のつく最後かもしれません。しかし、なんですかあの温かな口付けは。水の冷たさを感じさせない水の表現なんて初めて見ました。

彼に最後まで明確な名前がなく、彼と彼女、そして一緒…と物語のお終いのように幕を閉じたところを見届け、最高の映画体験であったことを涙しながら思いました。
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