さすらいの用心棒

シェイプ・オブ・ウォーターのさすらいの用心棒のレビュー・感想・評価

3.7
マイノリティのオマージュを半魚人に込めたファンタジー・ロマンス。

5歳の頃からやっていた『大アマゾンの半魚人』の二次創作で、第90回アカデミー作品賞、金獅子賞受まで賞作したというのだから、デルトロ監督は我々オタクの希望の星と言ってもいいんじゃないか。
身体障碍者、黒人女性、ユダヤ人、同性愛者、移民といった現代の人種問題を絡めた点にも意義があったし、トランプと同じく『ポジティブ思考』という本を愛読する警備主任が悪役であるというのも、非常に共感できる(笑)
単調なストーリーながら、赤色と青色によって心情を表す器用さや、統率された色調の美しさには目を見張るほかない。何より『美女と野獣』クソくらえ、と思っている自分にとってこの作品はかなり大切な存在でもある。
遅蒔きながら、受賞おめでとう! と心から祝福できる作品だった。