田上雄也

シェイプ・オブ・ウォーターの田上雄也のレビュー・感想・評価

4.0
2018年のアカデミー作品賞、監督賞をダブルで獲った作品。監督は「パシフィック・リム」のギレルモ・デル・トロ

冒頭からぬるぅい音楽とCG多いんだけど1960年代を描くミスマッチの絵の雰囲気が、なんだかディズニー映画みたいで正直終始心地悪さが拭えなかった。あの擬似ノスタルジックみたいな感じは好きな人は好きだと思うんだけど個人的にはなんだか苦手。
しかしストーリー自体はすごいキレイな話だし、「ありのままを愛する」という綺麗事をちゃんと誤魔化さずに描き切っているところが好感が持てた。
デル・トロはなんとこの話の構想を6歳から練っていたらしい。
なんでも、美女と野獣はたとえ野獣だろうと優しいあなたが好き!ってな話なのに最後にイケメン王子になっちゃ意味ねーだろ!そのままのあなたが好きなんじゃねーのか!全然ありのままを愛する事の素晴らしさを描けてねーだろ!
とずっと思っていたらしく、だったら俺がマジでありのままを愛する事の大切さを教えてやる!って事で制作をしたらしい。
たしかに前時代が盲目的に信じていた価値観とかっておかしい事多いし、語り継がれている物は良い物って思い込みがちな部分はとてもあるなと個人的には思いました。

絵の雰囲気はたしかに苦手だったけれど
文字通りあの2人の濡れ場は奇跡のように美しいシーンもあって思わずドキッとするシーンもあり。
あと、敵役のマイケル・シャノンがめちゃくちゃ良い味だしまくり。自信満々で不屈の精神を持ってるとことか全然憎めなくて個人的には応援してしまったし、あのミント飴美味しそうだし、とにかく映画全体に切迫感や恐怖感をしっかり与えていて最高でした。

そして何よりもこのタイトルが素晴らしい。
顔や見た目じゃない形のないもの、つまりは心を愛する。
それが簡潔に、且つ詩的に表現されていて見事だなと思いました。
変な話だけど意外に真理が詰まった一本だと思います。
田上雄也

田上雄也