Inagaquilala

アメリカン・アサシンのInagaquilalaのレビュー・感想・評価

アメリカン・アサシン(2017年製作の映画)
4.0
1日で何本もまとめて作品を観ることがよくあるが、そんなとき、それほど観たいとは思わないのだが、タイムスケジュールの関係で、観賞予定に組み入れるものがある。この作品も実はそういうものだったのだが、これが存外、拾いものの作品だった。というか、かなり楽しめる作品だった。「アメリカン・アサシン」という邦題から、これはクリント・イーストウッド監督の「アメリカン・スナイパー」にあやかったタイトルなのかなと思っていたが、実は原題も「American Assassin」。アメリカのベストセラー小説「ミッチ・ラップ」シリーズの1作が原作となっている。

「ミッチ・ラップ」シリーズは全13作、累計2500万部を売り上げる人気シリーズだが、作者のヴィンス・フリンは残念ながら2013年に若くして亡くなっている。生前、映像化の契約を結んだのがこの作品で、シリーズ最初の映画化になるという。そのせいか、選ばれたのは、主人公のミッチがいかにCIAの腕利ききエージェントになったかが語られるシリーズ10作目にあたる「American Assassin」が選ばれたという。

地中海のイビザ島で恋人とバカンスを楽しんでいたミッチだったが、海から上陸してきたテロリストたちの無差別テロのため恋人を喪う。生き残ったミッチはテロリストたちへの復讐を果たすため、リビアのトリポリで彼らの隠れ家へと単身で潜入するが、そこで、折から急襲してきたCIAにスカウトされ、鬼教官のもと、スパイとしての過酷な訓練をこなしていく。最初にミッチに下されたミッションは、イスタンブールに行き、核兵器テロを阻止するというものだった。

とにかく、このスパイ・アクションはリズムがいい。スピード感もある。観ていて飽きることがない。監督は長らくテレビを舞台に活躍してきた、マイケル・クエスタ監督。それだけに、観客を楽しませる技巧には確かなものがある。しかも、舞台はイビザ、トリポリ、アメリカのロードアイランド、イスタンブール、ローマとワールドワイドに展開して、観ている者をその場所へと誘う。そのトリップ感は素晴らしい。スパイ・アクションのあらたなシリーズとなること請け合いだ。最後、地中海で核爆弾が爆発するところは、やや絵空事に近いが、それでもそのシーンの迫力もなかなかのものだ。エンタテインメントとしてかなり楽しめる作品となっている。
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