イチロヲ

女囚 檻のイチロヲのレビュー・感想・評価

女囚 檻(1983年製作の映画)
4.0
脱走に失敗した気丈な性格の女囚(浅見美那)が、刺激を欲している刑務所上層部の標的にされてしまう。権力に蹂躙される女囚の反体制運動を描いている、日活ロマンポルノ。タイトルの「檻」は「おり」と読む。

「女囚もの」の紋切り型をベースにしながら、絶妙なアレンジを施している作品。刑務官と女囚の関係性を「調教行為」と重ね合わせ、主人公グループに対する凌辱行為へと落とし込んでいく。権力にねじ伏せられるマゾヒスト役を、室井滋が熱演している。

鑑別所内部を修学旅行の女子生徒の部屋のように描写しつつ、主人公と刑務所長の敵対関係に一点集中させていく構成が面白い。所長(和泉喜和子)、刑務官(渡辺良子)、神父(田山涼成)という、刑務所サイドの憎めないキャラ設定も見どころ満点。

女囚との楽しいゲームに興じようとする女所長のキャラが、あと一歩のところで振り切れていないが、後に引きずる系のラストは見事。そして、総勢50名にも及ぶ女性エキストラは、もはやロマンポルノの枠を超えている。
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