nntmkazuyotaro

オー・ルーシー!のnntmkazuyotaroのネタバレレビュー・内容・結末

オー・ルーシー!(2017年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

主人公の会社のデスクに貯まった大量のお菓子、主人公が会社で(社会で)どんな存在なのかどんな風に見られているのか一目でわかる描写に唸った。日々、積み重なっていくお菓子は主人公と周囲の乖離とその年月の長さを感じさせる。

部長が「(タバコじゃなくて)甘いものにしときなよ」って言う言葉でもわかる様に昔はみんな節子と一緒にタバコを吸っていた《そんな時代》があったのだろう。しかしそれはもう過去のこと、今ではお局と呼ばれる存在で明らかに周囲から浮いていおり、みんな腫れ物にでも触る様に節子に接するのだ。

そんな妙齢独身子なしの女性がLucyという姿を手に入れ、好きな人を追っかけてLAに行き、今までしたことのない大冒険をする。英語でポテトフライを注文し、モーテルに泊まり、大麻を吸い、カーセックスをし、タトゥーを入れる。下手でも、期待していた様な現実じゃなくても、後悔しても、想いが届かなくても、それが事故の様な過ちでも、確かに彼女はジョンの記憶にわずかばかりだが刻まれたのだ。
彼女は決して《過ぎてしまった人》ではない。でも、本当の自分でそれに気がつけるかどうかは大事だね。バカにしたり見下してるくる人たち(自分自身も含め)に足を取られちゃいけない。(主人公は正反対だけど『セレステ∞ジェシー』は内容的に近いかも。)

アニメも見なけりゃこどももいないし鬼滅の刃はナチュラルに見たことない。そんなわたしの様な人には、最後にほんの少し安らぎが訪れる映画だと思う。(コロナ禍で上手く前に進めず、自分だけが周囲から取り残されている様な気持ちを抱えている人にも届いて欲しい。)
腫れ物の役ばっかりやってるウィル・フェレル(とアダム・マッケイ)がグロリア・サンチェスでこの映画を製作したことも納得できる。節子がジョンに与えられたLucyをめちゃくちゃ気に入ってるのが最高にcuteでfunny!Lucyこそがヘンテコで愛おしいありのままの恋の姿なのかもね。

すごく良い脚本(たぶん自殺防止の意味合いが込められたドラマだと思われる。)だし、寺島しのぶと南果穂の姉妹喧嘩シーンは素晴らしい。ポール・ラッドみたいな役所広司とか、カラオケボックスを居抜きした風俗店みたいな英会話教室も笑える。派手さはないけど登場人物たちの突拍子もない行動に笑い心掴まれるし、コメディーとしてもGOOD!
日本人はもっとハグした方がいいよ。

ハンコとかおじぎとかそういう日本のふざけた文化は意外とウィル・フェレルのコメディーと相性が良いことがわかった。なので、また日本を舞台にした映画、今度はめちゃくちゃ不謹慎なジョークが満載なのをいつか作って欲しいな。
nntmkazuyotaro

nntmkazuyotaro