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オー・ルーシー!のmichikoのレビュー・感想・評価

オー・ルーシー!(2017年製作の映画)
2.0
心が壊れ、何の変化もない日常を生きる43歳のOL節子。姉の姪に紹介された英会話教室の米国人講師に恋をするが、彼は姪と一緒にアメリカに消える。彼を追い仲の悪い姉との奇妙なアメリカの旅が始まる。

本作は主人公の苦しみ、もう一度人生をやり直したい願望などを哀愁と少しのコメディタッチで描く。だがそこに水を刺すのが所々に現れる不穏な要素。それは冒頭のショッキングなシーンから始まり、視聴者の頭の片隅に常に居座ることになる。どんな切ないシーンでも、ほろ苦いシーンでも、その隣には危うい感情がちらつき、正直落ち着いてはいられない。
それはまるで主人公節子の危うさでもあり、それに振り回される周囲の人間の被害でもある。色々と掻き乱した後、エンディングの後に残る世界は輝いているのだろうか。

登場人物にまともな人間が一人もおらず、ここから何かを学ぶというのは非常に難しかった。
いや、一人、まともな人物がいた。役所広司だ。あれ?こんなにカッコよかったんだ、と思ったほど渋く素敵だった。
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