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Oh Lucy!のkneeのレビュー・感想・評価

Oh Lucy!(2016年製作の映画)
3.0
「レッツハグ 節子さん」

桃井かおり主演の短編映画の部分を含めたその後を描いた平柳監督初長編作品。
まずトレーラーが捏造の類であったのは確か。私はコメディというよりかは人生賛歌ものの雰囲気を感じた。実際はというと舞台カリフォルニアの空もどんよりと曇っていたように国違えど底には暗い淀みが通っている。東京とカリフォルニア、どちらにせよ画面に映るポジティブはネガティブの上にあってのもののよう。真の幸福はそう簡単には顔を出さない

4月『光』ぶりの日本映画(合作)。アメリカロケにおけるシーンをみて、日本人は日本という土地でしか映画にならないなと痛感する。寺島しのぶ、南果歩、忽那汐里、3キャストどれもアメリカの風景にミスマッチ。馴染めず浮いていた。『Paterson』の永瀬正敏のように強いキャラクターではないと映画の一部になることができない。弱いビジュアルの日本人でおまけにドラマ映画となると馴染むのは困難。そしてどうも、日本語のセリフが片言英語を引きずったように聞こえた。日本ロケを全て終えアメリカロケの順だったらしいのだが、思い込みなのか寺島しのぶの演技がうざったらしい。過去にみた韓国映画『ビューティー・インサイド』で上野樹里の日本語セリフがあるのだが、全編韓国語のなか日本語が聞こえてきたときの不快感は今までに感じたことのないものだったのを覚えている。日本語とアルファベット系言語の間には乗り越えられない音の壁があるようだ。

節子を開くアメリカ英語
平柳監督も日本人は外国人とは比較的明るく自分から会話しているように感じるそう。アルファベット、アクセント、流れるように繋がった音、言語学の側面からも理由が何かありそう。また40半ばで口にする新しい言語とは、使い古した母語とは全く別物だろう。単語や言葉一つ一つにまだ何も自分にとっての意味・気持ちが完全に込められてはいないはずだ。まだ汚れていない空の言葉であるからこそ固まった自分を変えるきっかけを外国語は持っているのではなかろうか。

今回描かれた日本。海外の方からは「なんだこの日本?」という声があったのだとか、ダークで自殺との距離が近いイメージはほぼなく、やはり日本の伝統的文化を基盤としたものが一般的なところが現状に違いない。現代日本の暗がりを映した多くの作品が海外を回るようになればいいのだが、今作はそういうところでは意味ある一本なのは間違いない


「映画を観た人から『もっと節子は幸せになると思った』と言われたりもしますが、私としてはこのエンディングは100%希望のあるハッピーエンディングだと思っています。」

薬を吐かせる元警官、役所広司の重く優しさある英語とハグで終えるラスト。映画は多様性の共有の時代であっても身の丈の恋に落ち着く主人公。とても地道なハッピーエンド