小一郎

オー・ルーシー!の小一郎のレビュー・感想・評価

オー・ルーシー!(2017年製作の映画)
4.1
40代女性の恋物語、切なすぎる。英会話学校で金髪カツラとアメリカ人風の名前を与えられ、普段の自分を解き放つも、待っていたのはとても厳しい現実。でも、例えどんなに辛くても死んだように生きているよりは、自分を解放する方がマシでしょと言いたげな世界観に、ちょっと共感してしまった。

寺島しのぶが金髪のカツラをかぶって、オレンジ色のピンポン玉を口に加えている顔がアップのチラシの写真に、面白そうな映画だって思うし、そういう雰囲気がないわけではない。

主人公の43歳独身OL、節子が姪の美花の頼みで英会話学校に通うことになり、そこで金髪の「ルーシー」となる。一緒に習う生徒には「トム」のオジサン会社員・小森(役所広司)もいて、「ハーイ!」とか言いながらハグしたりする。こんな英会話学校ありそう。

「ルーシー」はアメリカ人講師のジョン先生に恋をする。実は彼は美花の恋人で一緒に帰国してしまうけれど、「ルーシー」はその後を追いかける。

節子は<職場では空気のような存在、一人暮らしの部屋は物だらけ>(公式ウェブ)で、<ほど遠くない「退職」と、いずれ訪れる「死」をただ待つだけの生活を送っていた>(フィルマークスのあらすじ)。姉の綾子とは険悪。綾子の娘の姪の美花には何故か弱い。

そんな節子が見出した生きる歓びが「ルーシー」になった自分とジョンとの恋。心の闇の深そうな節子の必死さは鬼気迫るものがあり、その純情を翻弄した姪の実花との関係も…。

自分を不器用に解放してしまったことから、人間関係でとても厳しい報いを受けた節子だけど「ルーシー」となったからこそ新たな道も開けてくる。

<「死」をただ待つだけ>のように生きるなら、たとえどんなに不利な闘いでも「ルーシー」として生きることの方が、「可能性」という「絶望」の特効薬はあるのだ、という実存系の物語だったかな。

●物語(50%×4.5):2.25
・コメディかと思いきや、案外いつまでも覚えて良そうな結構重たい話。

●演技、演出(30%×4.0):1.20
・寺島しのぶの痛々しさがイイ。役所広司もさすがの役どころ。

●画、音、音楽(20%×3.0):0.60
・特にこれと言って…。