煉屋Banana

オー・ルーシー!の煉屋Bananaのレビュー・感想・評価

オー・ルーシー!(2017年製作の映画)
3.5
登場人物みんなが病んでいる。いや、疲れていると言った方が適切かも。

それぞれが思い描く様な生活を送れず、将来に不安がある。上手くいかない事が続き、段々と諦めの気持ちが大きくなってしまう。そして、そんな人生に疲れて無気力になり、生きながら死んだ様な人生を送る。
つまり現代社会に生きる多くの人達が投影された映画だった。
ルーシー(節子)、ジョン、綾子、美花、トム(小森)など観ていると、いずれかの登場人物に自分を重ねてしまうのではないか。

節子は、英会話講師のジョンからルーシーという別の名前を与えられ、今までの自分とは別の人間になる事に開放感を感じる。ルーシーという仮面をかぶる事で、今まで抑圧していた自我を解放する事となる。
先日報道された東京のハロウィンでの仮装した暴徒が度を超えた行動も、(集団心理もあるが)仮装したことで別人になり、心の内にある暴力的な気持ちが暴走したからだと思える。
誰でも現状には満足せず(多くは良い方向に)ああなりたい、こうでありたい、という変身願望の様なものは持っているものだ。

駅のシーンが3回登場するが、最初のシーンがあったので、2回目以降はハラハラしながら観る事となった。
最初の駅では、誰にも助けを求める事が出来ない人の結果。2回目以降は誰かが気にかける事で違う結果に。もし、誰も気に留めていなければ、どうなっていたかと考えると恐ろしい。
でも、現実の社会では一人孤独に悩んで疲れ切り、正しい判断ができなくなってしまっている人が多いのだろう。
誰にも気に留めてもらえず孤独だと、一人で思いつめてしまう。私は孤独を感じ、もう無理だと思う前に周りに助けを求める様にしようと思った。
そして、私も周りの人達に「どうしたの」と声を掛けてあげられる様にありたいと思う。

その様な事を考えさせる映画だったが、ところどころにブラックなユーモアがあり笑えるところもあって面白かった。
それにしても、寺島しのぶさんの演技は素晴らしいと思った。43歳独身女性をリアルに演じていた。