LUCYと節子
LUCYは節子であって節子でなく
節子もまたLUCYであってLUCYでない
LUCYは恋を知って
節子は叶わぬ想いに傷付く
歩んだ恋の分だけ、ただ痛みを知る
若くもない
おばちゃんと呼ばれる自分
だって、愛した男は姪のもの
自分に名前をくれた男は
自分に場所をくれた男は
これから先も振り向いてはくれない
デスクに溜め込まれた甘いもの
必要とされていない自分への寂しさ
不必要を作り出すことでしか
埋められない空虚感
節子はLUCYを共有したTOMを
ハグという言葉に乗せて
力一杯抱きしめるのだった
そうするしかなかった
ハグでもなんでもいい
本名でもイングリッシュネームでもいい
ただ抱きしめ
抱きしめ合いたかった