MOON

彼女の人生は間違いじゃないのMOONのレビュー・感想・評価

3.2
デリヘル嬢のアルバイトのために夜行バスで福島から渋谷に向かう彼女=みゆきの心中はなかなか計り知れない。東日本大地震で母を亡くし家を亡くし恋人ともうまくいかなくなってしまったけど、日々慎ましやかに生きて行かねばならない事への反発なのか。単にお金が必要なのか。

福島で原発問題を抱えながらも その地で生きていこうとする人達の生活風景はフィクションではない気がした。問題は山積みのまま、綺麗事では済まされない現状が今でも続いているのだと。あの日から時間が止まったままの、取り残されたままの福島の姿を見せられた気がした。

問題提起するでもないし、感動や悲劇の押しつけをするでもない。ただそっと彼女の非日常的な日常に寄り添って追っているだけ。でもその肯定的な眼差しに優しさを感じられる作品でした。
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