津波に家族や日常、笑顔を奪われた人々のモヤモヤを抱えながらも踏ん張って生きていく姿。感情の矛先すらままならず噛み締める表情はもう苦しいばかりでこれは自分の想像じゃ及ばないなって。
それでも〝がんばれ〟じゃなく何が心に灯りをともすのかを伝えてくれる貴重な映画だと思います。
震災で母を亡くし父と仮設住居暮らしのみゆきは平日は公務員、週末は高速バスに乗り東京でデリヘル嬢。映画の中で明確な経緯などは描かれてないけど、みゆきの中で時間の止まったままの福島を離れ東京で別の自分を演じ何かを進めたかったのかな。高良健吾演じるドライバーとの信頼も微かな拠り所に見えた。
大学生の卒論取材のシーンが印象的やったけど丁寧な言葉でズカズカ踏み込む人もいれば駅のトイレの何でもない出会いで心がフワッと軽くなる事もある。みゆきに限らずここに出てくる人たちは何かしら傷を背負ってるし自分ではどうもできない心を軽くしてくれるのは些細な思いやりなのかもって思わせてくる。誰にでも当てはまるエールやね。
重過ぎな割に見えない部分も多くてちょっと疲れる映画ではあったけど滝内公美、光石研、高良健吾、柄本時生など表情で抜群に語ってくれる深い演技が素晴らしかったです。
今日、住んでる京都でも震度5以上の地震があってゾッとしたけど生きてると何が起こるか分からんからこういう映画に触れる機会も大切かと思う。