みなそれぞれの人生を歩んでいたのに、あの震災は一瞬のうちにすべてを飲み込んだ。それでも生き残った者たちは、”再生に向けて”動かなければならない。ただ分かっていながらも、前に進めない。その末に答えを求めて、もがき苦しむ人。また、あの瞬間から立ち止まったままでいる人。
「今後復興とかどうしていきたいとか、どうしていくべきかみたいな、伝えたいことってあります?」
スナックでアルバイトをする女子大生が市役所広報課の新田に訊ねる。確かに関心は持っているけど、あくまでも傍観者的な言葉。しかもこれは、むしろ当事者以外の者こそがもっと考えなければならない事であるはず。
それでも外と閉ざしていてはいつまで経っても変わらないのも事実。カメラマンのさおりが被災地の写真を住民に公開するに至って、徐々にみなの心に変化が萌す。
もうすぐ十年、まだ十年。ラストで、実際に汚染され、封鎖された街が映し出されるけど、まだ終わっていないとつくづく思います。