ちろる

ブルックリンの片隅でのちろるのレビュー・感想・評価

ブルックリンの片隅で(2017年製作の映画)
3.6
掃き溜めみたいに生きている。
友達と呼ばれる仲間なんて1人もいなくて、自分が何者かわからないからなんとなく仲間みたいなフリをしてどうでもない時間を過ごしている。
ドラッグ、酒、セックス、盗み
だんだん麻痺してきて何がダメなのかもわからなくなることよりも居場所がなくなることの方がよっぽど怖い。
そんなブルックリンの片隅にいる青年の虚無感を描いた作品。

セリフは最小限で、響き渡るのはクラブの音楽と悪い仲間のどうでもない会話たち。
観ているのにだんだんこちらも取り込まれていくような気分になって、心がざわついてきた。
観ていてだんだん辛くなって、途中何度か止めた。
セクシャリティに悩むLGBT青年のお話だと思っていたけど、自分が何者か、居るべき場所さえ不安定な若者特有の葛藤がリアルに描かれていた。
これは極端とはいえ、この不安定な時間をは通過した事がある人は多いと思う。
私もそう。
主人公のハリスの初めての映画とは思えない暗く渦巻く内面世界を見せる演技に釘付けになった作品だった。
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