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ブルックリンの片隅でのKotaのレビュー・感想・評価

ブルックリンの片隅で(2017年製作の映画)
3.4
“自分がゲイだとは思っていない。”

脚色なく、ありのままに、ブルックリンに住む青年を切り取る。父親は癌で寝たきり、母親は疲れ切り、仲間と呼べるのか分からない不良とつるみ、自分はゲイであると言う事を隠すために彼女を作って、誰にもバレないようにネット経由で男性と出会っている。

近年のLGBT映画だと途中で良き理解者が現れたり、カミングアウトが成功して結ばれたり、もしくはその逆で悩んで自殺してしまう、など起伏が激しいものが多いけれど、この映画はそのどれでもないところが新しい。結局主役のフランキーは最後まで誰にも告白せずに自分だけの秘密として映画は幕を閉じる。

あまりにもリアルで人生のように起承転結なんてないから退屈と思う人もいると思う。彼女は簡単な事で離れていくし、母親に悩みなんて打ち明けることはできない。最後の打ちあがる花火に何を思うか、それは観る人それぞれが決める事だと訴えているようなラストが美しい。それでも人生は続いてゆく。

Netflixには日本劇場未公開の良作が沢山あるからオススメ。
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