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あゝ、荒野 後篇のkazuのレビュー・感想・評価

あゝ、荒野 後篇(2017年製作の映画)
4.5
“眼下の新宿歌舞伎町”

やっと、レビューを書きます。

“欲望、金、暴力、快楽、絶望、搾取、反吐、泪、糞、全てが渦巻く新宿で、登場人物の全てが孤独を引き摺り、明日ではなく、今日をひたすら生きる魂の作品。

前編を見た後の後編の予想は、完全に外れました。

後編は全ての闘いが佳境に向かい、その闘いの勝者は果たして、誰なのか?今日を精一杯生きた彼らには解りません。

作品の主題である「孤独をぶち壊せ」、孤独を纏った全ての登場人物達が、主人公の二人に引き寄せられ、次第に他者との繋がりを暗闇の中で手繰り寄せ、必死に繋がろうと踠いて行く様が心に響く。

そして、渦の中心の“新宿新次とバリカン健二”の二人は、互いに戦う事で繋がろうとする。
圧巻のラストファイト!おそらく20分以上のボクシングシーンは、壮絶でした。闘いの中で聞こえる健二の心の叫び、体の震えと嗚咽を堪えるのが大変でした。
そして迎える壮絶な結末と、渦に飲み込まれ、皆が一つなると思われたが...。

ネタバレになるので多くは書きませんが、あまりに切ないラストの展開ですが、2人の壮絶な闘いを目の当たりにした登場人物達は、物理的なは無いですが、心の奥深くで繋がっていくと思います。

只々残念な事は、ネット配信の絡みもあって、極端に上映館と上映回数が少ないので、多くの人が鑑賞する機会が極端に少ない事です。是非、多くの人が観て、魂を震わせて欲しいです。


個人的にボクシングが大好物なので、この日は夜に“村田🆚エンダム”のダイレクトリマッチを堪能しましたが、???あれっ、昼に観た新次と健二のファイトとどっちがリアルのボクシング?ってくらいにインパクトが大きかったです。


そして映画を観終わって、ピカデリーのエスカレーターを下りながら、眼下に見える雨に濡れる歌舞伎町を見てると、新次と健二がいるような....。
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