幕のリア

あゝ、荒野 後篇の幕のリアのレビュー・感想・評価

あゝ、荒野 後篇(2017年製作の映画)
2.9
後編。
自殺防止サークルやドローンなど目障りな安い仕掛けが多少減り、ようやく本作の世界観に馴染むことが出来た。
どん詰まりな東京五輪後の日本。
自らを傷付けるのではなく、自らの拳でどうにかこうにか日常の蜘蛛の巣を振り払おうとする登場人物の姿が痛々しさから少し解き放たれる。

良い意味で青臭い作品ではある。
NHK土曜夜のドラマでもっと青く熱くやってくれても良かったかも。
直情径行のシンジは映画の中では輝けるキャラクターではなく、やはりヤン・イクチュン演ずるバリカンケンジの全ての所作がたまらなく魅力でどの瞬間を切り取っても泣きたくなる程に切実だ。
無茶苦茶なボクシングの試合も彼の肉体が激しく痛めつけられる姿がとんでもない感動を呼ぶのだが…

これを機にヤン・イクチュン監督作品での菅田君が見られる事を期待。
日本映画では一通りの作品で様々な演技を見せたと思うし、歳食うまで日本映画はしばらく離れてもいいのではないかと思えた。
分かり易いドラマはもういいんじゃないか。

「明日のジョー」を久し振りに読もうか。

〜〜

SEALDsもどきのデモ集会に爆破テロの演出をクライマックスに重ねるのには閉口した。
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