回想シーンでご飯3杯いける

あゝ、荒野 後篇の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

あゝ、荒野 後篇(2017年製作の映画)
2.5
前篇には4.0のスコアを付けたが、この後篇では見事にはずされた気分。前篇で散りばめられた、思わせぶりな伏線が全く回収されていない。裕二との試合は中途半端。自殺撲滅団体はいったい何だったのか? 芳子の母親は何故、最後の試合シーンに居合わせたのか、娘と至近距離にいながら絡みは無しってどういう事?(笑)

ラストの試合結果も、まあ原作がそうなのかもしれないけど、5時間超の作品の結末として、あまりにやり切れない。そこに辿りつくまでの時間が長かった故に、何故この2人はそこまで戦わなくてはいけなかったのか?正直良く分からなくなってしまった。

もうひとつ凄く気になったのが、無駄に脱ぎまくる女性陣。主要人物はほぼ全員脱いでいる。でもそれって必要あったかな? 自由気ままに生きる男達の欲望のはけ口、はたまた映像作品としてのインパクトを加える為だけに思えて不愉快。

そんな中、菅田将暉とヤン・イクチュンの演技は、前篇以上に素晴らしい。ちなみに菅田は24歳、監督の岸善幸は53歳。監督の半分の年齢にも満たない菅田が、冗長な作品を帳消しにするほどの熱量を作品にもたらしている。24歳圧勝。この後篇が前篇に続いて高評価となっているのは、やはり彼等の演技あってこそなのだと思う。

本作に限っては、儲け主義で前・後篇に分けたわけでは無さそうだけれど、原作も300ページ程度の小説であり、結果的には1本にまとめた方がより良い作品になったと思う。上記スコアは後篇に対するもの。前・後篇トータルでは3点台前半という感じ。