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あゝ、荒野 後篇のnoonのネタバレレビュー・内容・結末

あゝ、荒野 後篇(2017年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

ようやく後編を観ました。観てよかった。

殺してやりたいほど憎んでいた相手にようやくボクシングで挑むことを許され、その闘いに勝利したにもかかわらず、憎んだ相手を倒しても何も変わることはなく、腑抜けのようになったシンジ。
いつも自分の一歩先を行く弟分、シンジのように強くなりたいと願っていたケンジ。シンジから「自分のようにはなれない、自分は自分だし、貴方は貴方だ」と言われて、ようやく自分の力で新しい場所から再スタートを切り、シンジとボクシングで「繋がりたい」という想いを胸に数々の相手を倒し、のし上がっていく。そして、2人の試合が始まる。その白熱した試合には本当に息をのんだし、観ているうちに自然と涙が出てきた。
ケンジはずっと孤独だった。幼い頃、父親によって韓国の母親の元から無理矢理日本へ連れてこられ、父親から暴力を受け、周りの人達も吃りがあるために馬鹿にされ、相手にされなかった。だからずっと誰かと繋がりたかった。誰かと繋がって、自分がここにいることをみんなに知って欲しかった、そしてそんな自分を愛してほしかった。ラストシーンで彼はそれをボクシングを通して実現できたのでないか。たくさんの仲間達が彼らを見守る中、目指してきた相手シンジと闘うことで。
新宿というたくさんの人が行き交う大都会のど真ん中で、ケンジやシンジはもちろん、他の登場人物達もみな荒野にぽつんを取り残されたような孤独の中にいる。ケンジがその孤独から自分の力で抜け出し、繋がっていく様は本当にかっこよかったです。
手広くいろいろ広げた感は否めないけれど、ケンジとシンジの闘いは本当によかった…
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